先日あるドキュメンタリー番組を見て色々と感じたこと学びがあったのでここでシェアさせてもらいたいと思います。
壮絶な人生を送った受刑者の話
通算50年以上刑務所で過ごす
僕が見たドキュメンタリー番組は元受刑者が出所してからの7カ月間取材したものです。ここではまずはじめに元受刑者の経歴を書いておきます。
元受刑者は84歳の男性。
人生において放火もしくは放火未遂で11回服役。22歳からなんども罪を重ね通算で50年以上刑務所で過ごしました。彼には軽度の知的障害があるそうです。
男性は農村で育ち5人兄弟の長男として生まれました。父親からは厳しいしつけをうけ、時には火のついた薪を押し付けられるなど辛い経験もしたとのこと。
この辺はしつけというかもはや虐待でしかないですが、軽度の知的障害もあり父親としは必要以上に彼に厳しく接したのかもしれません。もう半世紀以上前の話ですし障害の情報もなかったのかもしれない(真相はわからりません)
その結果男性はそんな父親を困らせようと近所の家に放火し捕まります。これが一回目の事件。そこから男性の壮絶な人生が始まります。
父親は息子の犯した罪で周囲との関係が悪くなり自殺をしてしまうのです。もしかしたら農村の狭いムラ社会だと生きにくかったのかもしれません。一家は離散し男性は天涯孤独の身になってしまいます。
その後男性は罪を償って出所しますが、知的障害もあり学歴も職歴もない状態では働く場所もありません。障害がなくても服役した人が仕事や居場所を見つけるのは大変なのだから障害がある人はもっと大変でしょう。
そして男性はホームレスになりお金がつきては放火もしくは放火未遂などの罪をを繰り返し刑務所を出たり入ったりをくりかえします。
ちなみに男性は何度か行われた裁判で知的障害であると認められています。それにもかかわらず服役を終えたらそのまま社会に放り出される。この辺はもう少し対応のしかたというかサポートをしっかりとするべきなのではないでしょうか?
学歴も職歴も知識も人脈も何もない障害を抱えた人が生きていくのは僕らが想像する以上に大変だと思います。結果としてどこにも行く場所がなく孤立しストレスを抱え困窮しまた罪を犯すという悪循環。
行政だって放っておいたらまた何か罪を犯すかもしれないことぐらいわかるはず。それなのになんでこの男性を放置してしまったんだろうと思うと憤りを感じますね。もう少し早い段階で福祉に繋がっていれば男性はもっと早い段階で罪を犯さなくて済んだかもしれないわけですから。
駅を放火し消失させてしまう
刑務所を出たり入ったりを繰り返していた男性ですが、2006年の1月にある重大事件を起こしてしまいます。
男性はその少し前の2005年12月に福岡刑務所を出所。出所後は福祉事務所で生活保護を求めるなどしましたが、生活保護は受けられず下関方面の切符を一枚もらいました。(たしか大阪方面に行くようにと言われたらしいです。うろ覚えで申し訳ない。)
JR下関駅に着いた男性はお金がなく、当然とまるところもありません。そのまま駅で過ごそうと思ったところ追い出されてしまい放火。結果としてJR下関駅を焼失させてしまったのです。(人的な被害はなかったそうです)
男性の動機は
「刑務所に戻りたかった。」
社会にいるより刑務所にいる方がいい。そりゃそうでしょう。社会に出てもご飯も満足に食べられず仕事も寝るところもないわけです。しまいには相談に行ってもチケット一枚渡されてどっか行けと言われてしまう。この時点でやっぱり外には居場所ないのかなぁなんて思っていたのかもしれません。
もちろん男性の犯した罪は許されるべきだなんて思いませんよ。孤独であっても放火という重大な罪を犯してしまった男性の責任は重いです。
でも男性が「刑務所に戻りたかった」っていう動機で罪を犯したのを聞いて思ったんですよね。どこかで男性が生活保護を受けられていたら、どこかで福祉施設に保護されていたら男性をサポートしてくれる人がいてくれたら、もしかしたらこの事件を起こさなくてすんだんじゃないかって。
社会のどこにも居場所がないのってつらいどころじゃないはずです。男性の孤独感とか絶望感というのは僕には計り知れないものなんだけど、それを少し想像しただけでなんかこう胸が苦しくなってしまいました。
僕が男性と同じ立場ならどうするだろうか?ってことも考えましたね。同じ事しちゃうのかなぁ。ちょっと自分だけでどうにかしようっていう解決策が思いつかないです。そう考えるとやっぱり誰かからのサポートがあるべきだよなぁって思いましたね。
この事件で男性は懲役10年の実刑判決。2016年の8月に出所します。
初めて男性を受け入れてくれる人が現れた
そんな男性に初めて引き受け人が現れます。それは困窮した方やホームレスの人などを保護するNPO法人「抱樸(ほうぼく)」理事長で牧師の奥田知志さんとその奥さん。
番組では詳しい経緯は話されませんでしたが、元受刑者の男性のことを報道でしり奥田さんが面会に訪れたことから繋がりがうまれたとのこと。
元受刑者の男性は最初奥田さんのお家で一緒に生活を始めます。 ただやっぱり更生は一筋縄ではいかないみたいですね。番組ではその辺のことも取り上げてました。
というのもこの受刑者の男性はパチンコが好きみたいなんですよ。出所後も奥田さんに頼んでちょっとだけパチンコをやらせてもらってたんだけど、すんごい熱中してたんです。依存症かどうかはわからんけど、やり始めたらきっとまたお金使っちゃうということでパチンコはやめようと奥田さんとも話していたんですね。
でもやっぱりそう簡単にはやめられなかったみたいで途中パチンコがやりたくなり、奥田さんの奥さんのカバンを漁るところを目撃されそのまま失踪。
なんとかみんなで男性を発見したときには、すでにパチンコでお金をすったあとだったそうです。もしあのまま放置していたらまた男性はホームレスになってまた放火もしくはそのほかの犯罪を犯していたかもしれない。
元受刑者は施設に戻り保護観察官と奥田さん夫妻と面会をすることに。
奥さんは怒ってました。そりゃそうですよね。NPOの仕事とはいえ善意で色々とお世話をしている男性に裏切られちゃったわけですから。いくら気の毒な境遇とはいえ「そりゃやっちゃダメだろ!!」と僕も思いました。
でも奥さんはこの男性を許します。そして再び男性はサポートを受けながらの生活をスタートします。その後は問題を起こすこともなく出所から7カ月の取材が終了。
番組の最後には男性がデイサービスの人たちと一緒に笑うところも見れたのが救いでした。通算50年刑務所に入り続けても笑えるんだなと思った時少しほっとしましたね。男性に残された人生は長くはないかもしれないけど最後は罪を犯さず人生を全うしてくれたらなぁと思います。
孤立しないこと、させないことの大切さを学んだ。
今回お伝えした元受刑者の男性は知的障害があって刑務所から出所するたびに誰からのサポートも受けられず罪を犯すことを繰り返してきました。
記事の中でも述べましたが、で福祉施設だったりサポートしてくれる人と繋がることができたら男性は罪を犯し続けなくて済んだのではないかと思います。全てとは言いませんが社会から孤立させてしまったことも罪を繰り返させてしまった一因なのではないでしょうか?
孤立と貧困は人を蝕みます。刑務所から出所しては孤立と貧困を味わった男性の心情は僕には到底想像もできません。ただただ人生に絶望していくんだろうということぐらいしかわからないのです。想像してもしきれない闇がそこにはあります。
「こんな社会どうだっていい。」
「社会に出るより刑務所にいた方がマシ」
人がそう思った時にとる選択肢はおそらく2つ。自分を否定して自分を殺すか、社会を否定して社会に牙をむくか。どちらにせよ誰かが被害を受けるわけでそれは防がなければならないでしょう。そのためには孤立させないこと、繋がりをつくり社会に居場所があると思えることが大切です。
だからもし孤立してしんどい思いをしている人がいるならば誰かと繋がることを考えるべきだし、遠慮なく誰かに助けを求めるべきです。あらかじめサポートしてくれそうなNPOなどを把握しておくのもいいかもしれない。どこかに手を差し伸べてくれる人はきっといるはずです。
逆に今回の男性のように孤立していてどうしようもない人がいるなら誰かがつながりをつくりサポートするべきです。孤立させちゃならないと僕は思います。
この男性の件で繋がることの大切さ、孤立しない、孤立させないことの大切さを改めて学びました。
「誰でもどこかに居場所がある。誰かと繋がりある。」
居場所があって繋がりがあることで防げる犯罪はあります。居場所があれば,、繋がりがあれば少し大変な思いをしても前を向いて生きていけるかもしれない。
「自分はここに居ていいんだ。」
誰もがそう思える社会の方が僕は素晴らしいと思います。なかなかその社会をつくるのは難しいのかもしれないけど‥‥‥。あなたはどうお考えでしょうか?
それでは今回はこの辺で。
最後までご覧いただきありがとうございました!!
次回もよろしくお願いします!!
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